経営戦略としての
SDGs推進に取り組む
2019年入社/法学部政治学科卒
受け継がれてきた
SDGsの精神
2020年6月に新設されたSDGs推進室に入社2年目ながら立ち上げメンバーとして異動したことは、私にとって嬉しいサプライズでした。
私は高校時代から途上国の支援活動に携わったり、学生時代の「ミス・ワールド2018世界大会」日本代表の立場を通じて各国の仲間と交流し世界の貧困と格差について理解を深めたりと、常に社会貢献は私の大切なテーマでした。セイコーウオッチ入社後は欧州マーケティング部に配属されてマーケティング、ブランディング等の仕事に取り組みながら、自分なりの問題意識で地道に活動を続けてきました。そうした私の姿が目に留まっての異動だったのでしょうか。社員一人ひとりに目を配り、しっかりと向き合う、そんな当社の姿勢を感じました。
創業以来、セイコーウオッチにはサステナビリティな精神と活動が根づいていて、SDGsが注目される以前より、社員はそれを当たり前のこととして受け継いできました。しかしその文化は、きちんと体系化され、企業としての成長戦略に組み込まれてはいませんでした。現代では企業価値を向上させ、自らの持続可能性を高める上で、SDGsを経営戦略に組み込むことは避けては通れません。その具体的な活動を展開するために発足したのがSDGs推進室です。メンバー4人という小さなチームですが社長直轄の組織であることに、寄せられている期待の大きさを感じます。
今後10年を見据えたサステナブル経営の戦略立案、国内外グループ各社の全社員に対する啓蒙活動などを柱に、目下猛進中です。
全社員を巻き込んで
情報発信
「それってSDGsだよね」。各部門や国内外拠点の業務内容を精査していくと、実はそれが長く受け継がれてきたサステナブル精神に基づいた行いだったという発見に出会います。我々はそうした事項を吸い上げながら、当社140年の伝統に基づき、かつ社会ニーズに応えられる経営戦略の原案をまとめあげました。SDGs推進室立ち上げからわずか7カ月間という短い期間で、その成果をSDGs大会の開催という形に結びつけることができました。
準備に際しては部署の垣根を越えて社内のあらゆる部門の社員とコミュニケーションを取り、それによって私自身のネットワークもずいぶんと広がりました。入社2年目から3年目という若手にこうした全社的な仕事を任せてもらえるのも、セイコーウオッチならではかと思います。
SDGsの最新情報を発信していくための全社員向けのメールマガジンも、月1~2回、定期配信しています。タイトルは「伊達の部屋」。社内外のトピックスをわかりやすく伝えるために毎回内容には苦労するものの、エレベーターで一緒になった方から「“部屋”、読んだよ」と言葉をかけていただいたり、同期の仲間から「ダテちゃんが書いたなら読んでみようかな」と言われたり、発信が着実に届いていると感じます。ランチの際に、それまでお話しする機会のなかった先輩が「ちょっといい?」と声をかけてくださってSDGsについて意見交換したこともありました。役員がSDGs経営戦略検討のために合宿を行うなど、経営陣のSDGsに対する意識は以前から高かったのですが、最近は裾野の広がりを実感しています。
“社会にいい会社”という誇りが
エネルギーに
時代の変化をキャッチアップし、自ら変わっていこうとする姿勢はセイコーウオッチの強みです。SDGsに対する反応の高さもその表れでしょう。もちろん私たちの活動に、これでいいという終わりはありません。一番危惧すべきは、意識や活動が形骸化し、実態を伴わない“SDGsウオッシュ”と呼ばれる状態に陥ってしまうことです。そんな落とし穴にはまることのないよう、これまで以上に発信し、人を巻き込んでいかなくてはなりません。それには環境保護意識や人権意識が高いと言われる私たちZ世代の社員が先頭に立って活動しなくてはならないと思いますし、デジタルネイティブならではの情報発信力も活かしたいと考えています。そして私自身、当社のSDGs活動のアイコンのような存在になれたらと心に期しています。
セイコーウオッチでは視覚障がい者の方向けに音声デジタルウオッチや触読時計など、いわゆる盲人時計をつくってきました。ある日のこと、会社帰りに駅のホームに立っていたら、白い杖を突いた方が電車遅延のアナウンスに耳を傾けながら、腕時計に触れて時間を確かめている様子を目にしました。これまでセイコーウオッチが積み上げてきたことが社会に受け入れられているという実感に、アドレナリンが沸騰したような感覚を覚えました。“ウチの会社っていいことをしている”。そんな誇らしさも、SDGs推進に取り組むエネルギーです。
改めて振り返ると、セイコーウオッチにいる人たちは、みんな素晴らしい笑顔をしています。仕事中でも、オフタイムでも。そんな笑顔を社会へ広げていくために一人ひとりがサステナブルな生き方を考えています。そこから生まれるお互いの信頼感こそ、セイコーウオッチの一番の強みかもしれません。
祖父の時計がセイコーでした。毎朝大切に手入れしていた姿を思い出します。日本が誇る技術と伝統、精神性を体現するセイコーが世界のラグジュアリー市場で存在感を発揮することが私の夢であり、そのためにSDGs、サステナビリティの観点からブランド力向上に貢献したいと考えています。