ブランドの世界観を
生活者に届ける
2015年入社/文学部歴史社会学科卒
表現はもちろん、購入までの
動線も考えるのが広告宣伝
テレビCMや店頭ポスター、雑誌広告など、広告クリエイティブの企画制作を担当しています。商品の開発から6カ月ほどで宣伝チームに情報が降りてきて、それを広告代理店と議論をしながら、また6カ月ぐらいの時間をかけて制作物をつくり上げていく。気の遠くなるような日々の連続でもあり、突発的な変更も多いため、粘り強さも臨機応変な対応も求められます。
広告宣伝の担当者として考えなければならないのは、アウトプットの「表現」ばかりではありません。例えば、ターゲットがどのような動線で店頭まで来て、どのような思考で商品を選ぶのか、計算をしなければならない。販売店からの要望も取り入れる必要があります。販売までの道のりをもっともショートカットできるのは、おそらく「指名買い」だろうと思いますが、そのためには店頭に来る前にターゲットの心を掴んでいなければなりません。Web上にコンテンツを配置し、雑誌に情報を掲載し、屋外広告でリマインドさせる。そうした刷り込みの質と量も考えながらクリエイティブの開発をしています。
例えば今回の新ルキアでは、ダイヤルにダイヤモンドをあしらっていますが、「レディダイヤ」という愛称をつけています。これもお客様に商品を認知して頂き、「指名買い」を促進するためのアイデアです。
キャッチコピーや
ビジュアルの開発は、
論理の積み上げ
ルキアがターゲットにしているのは、世の中で「アラサー」と呼ばれる30歳前後の働く女性です。これまで、ブランドメッセージとして「なりたい私になっていく。」「楽しむ人は、美しい。」というキャッチコピーを使用し、前向きに自分らしく働く女性たちを応援してきました。今回の新ルキア<レディダイヤ>はダイヤをあしらい、日常使いの中にもエレガントで特別な雰囲気を醸すモデルになっています。そこで、キャッチコピーは新たに「最愛の私へ。」と打ち出しました。そこにはお客様に、自分へのご褒美としてルキアを選んで頂きたいという思いが込められています。
ルキアはデイリーに使って頂きたい時計。上質で身につける人をワンランクアップさせる存在でありながら、毎日そばで活躍してくれるアイテムであることを伝えたい。そこで、ルキアのイメージキャラクターである、誰もが憧れる女優・綾瀬はるかさんに、日常的なワンシーンをビジュアル化して頂き、お客様にルキアのメッセージを共感していただけるよう工夫します。
すべての根本には、「働く女性が毎日使える」「特別感のある時計」という商品コンセプトがあります。クリエイティブの開発にはセンスも大切ですが、決して思いつきのアイデアや、自由な発想によるものではなく、論理的な積み上げの先にあるものだと思っています。
「あの広告を見て買った」
その声が私の最大の喜び
これは広告クリエイティブに限らず、セイコーウオッチで働く上で大切な姿勢かもしれませんが、個人的にはファッションやカルチャーのトレンドにも敏感でありたいと思っています。時計を販売するにあたって競合するのは、必ずしも他社の時計とは限らない。カバンかもしれないし靴かもしれないし、旅行かもしれません。ターゲットがいったい何に関心を持ち、どんな自分になりたいのか想像する訓練が必要になってきます。
ルキアに携わっているスタッフは大勢いますが、時にはチームで丸の内や銀座、六本木など街に繰り出して、人々の観察をすることもあります。仕事柄、どうしても時計に目がいってしまいますね(笑)。感覚的には若い世代のルキアユーザーも増えてきている手応えがあります。
この仕事の一番の喜びは、やはり「あの広告を見て商品を買った」という声を聞くことができること。広告をつくる仕事だけで考えれば、広告代理店や広告制作会社という選択もあると思いますが、自社ブランドを育て、自社ブランドを広められるのは、事業会社にいてこそ味わえる喜びだと思っています。ゆくゆくは、一つのブランドをトータルでディレクションできるようになるのが私の大きな目標です。
時計は、つけた瞬間にスイッチを入れてくれるツールです。朝、腕時計をつけることで仕事モードに切り替わり、やる気もわいてくる。社会人として大事な時こそ、時計は欠かせません。ブレスレットタイプ、レザーストラップタイプ、フェイスのサイズなど種類も豊富なので、休日はファッションアイテムとして活躍してくれるものでもあるけれど、基本は正確な時刻を刻んでこそ。ルキアはチタン製で軽く、いつでも時刻が正確なソーラー電波なので仕事の日は手放せません。*2017年10月取材時点