新しい世界観がつくる
新しいブランド価値
2020年入社/経済学部経済学科卒
日本のものづくりへの
憧れを胸に
入社して配属されたのが商品企画部。そこで担当することになったのが、日本の美意識や丁寧なものづくりを昔ながらの機械式時計に込めていくプレザージュというブランドです。私にとってまさに天命にも思えるような配属でした。というのも“日本らしさ”というのが、社会に出て行くに際して私が心に抱いていた大切な価値観だったからです。
私は高校時代をアメリカで過ごしました。「世界を見て視野を広げてきなさい」という父の勧めでした。多感な年代をアメリカで過ごすうちに自分が生まれ育った日本という国の歴史や文化などを客観的に見直すようになり、日本にいるときには気づかなかった魅力に改めて惹かれていきました。もともと私は車や自転車などの機械を触ることが好きです。ものづくりに携わりたいという思いは以前から強く、職人の手仕事なども大好きでした。アメリカに暮らすことでそうした日本ならではのものづくりに誇らしさを感じるようになり、その素晴らしさを世界に向けて発信したいと思うようになったのです。
そして初めて買った時計がセイコー。日本人の感性に基づいた美意識に加え、卓越した技術力が込められたものづくりは、非常に魅力的でした。就職活動でセイコーウオッチを第一志望とすることは自然なことでした。
配属に際しては私のこうした気持ちを汲んでもらったと感謝しています。社員一人ひとりの志を大切にしてくれる、当社らしいカルチャーが反映された配属だと感じました。
構築してきた
世界観がカタチになる
商品企画は「プレザージュ」の中期的なブランド戦略を決定する会議から始まります。私は1年目からこの会議に参加し、新人ならではの新鮮な意見やアイデアを出せるよう意識しています。一つの商品について一人の担当者が企画を担当する体制はセイコーの特徴の一つです。
会議での決定を受けて次は具体的な商品企画に取り組むことになりますが、どういう世界観のもとで商品をつくりあげていくかという段階に時間をかけます。その後デザインサイドや製造サイドと細かな調整を繰り返し、チーム内での検討を経て、試作品づくりへと進んでいきます。
初めて担当した企画の試作品ができあがってきたときは、興奮しました。悩みながら構築した世界観のもと、デザイナーや製造担当者の協力を得て実際にカタチとなって目の前に出現した時計は、まるで我が子のような存在です。もちろん具体的なモノとなると、それまでの検討段階では気づかなかった新たな課題も見えてきます。関係者の協力を得ながら課題解決に向けて調整を進め、そして最終的にマネジメント層へのプレゼンテーションを経て市場へと投入されることになります。
私はまだ担当商品を世に送り出したことはありませんが、同じチームのメンバーの企画に私の提案が反映されたことがありました。それが商品となり、市場に受け入れられていることを知ったときは、感動しました。私自身が企画した商品は、入社3年目となる来年に発売される予定です。その時、どれほどの達成感、充実感が得られるのか、想像もつきません。自分でも店舗で購入して、両親をはじめこれまでお世話になった方々にプレゼントしようかと考えています。
伝統に安住せず、
常に一歩先へ
商品企画の仕事は約3年経験してやっと独り立ちできると聞いています。大切なのはとにかくものづくりが好きであると同時に、あらゆることに対して好奇心をもつことです。世界観を構築する上で、勉強は欠かせません。例えばヴィンテージな要素を採り入れようとするならネットや雑誌はもちろんのこと、古着店にも足を運ぶなどできる限りの情報を仕入れて、とことん学ぶ姿勢が不可欠です。また企画担当者とデザイン担当者、製造担当者の意見がぶつかることも少なくありません。その際に方向性をまとめるために調整するのも企画担当者の仕事です。コミュニケーション力は重要なスキルといえるでしょう。
私のような入社2年目の社員の意見であっても、経験豊富な先輩たちは柔軟に採り入れてくれます。セイコーウオッチは伝統ある会社ですが、単に古いだけではなく、常に新しいことに挑戦しようとする姿勢があるのです。例えば若手社員のみで構成されたチームで今の時代に適した企画を考え、経営陣に提案するプロジェクトなども行われています。伝統に安住することなく、時代の変化を敏感にキャッチし、常に先へ進んでいこうとするカルチャーが根づいており、こうした進取の気性は大きな魅力でしょう。
これからの目標は、まずは自分の企画した時計を世の中に送り出すことです。そして商品を通じて世界中へと日本の美意識や歴史、伝統、技術を発信していきたいと思います。それがセイコーウオッチの価値を高めると同時に、日本が好きな人を世界中に増やすことにつながると考えています。
創業者・服部金太郎の精神を誠実に受け継ぎつつ、「急ぐな、休むな」の言葉通りに着実に一歩ずつ前へ進んでいきたいと思います。その積み重ねがセイコーのブランド力に磨きをかけていくことになるでしょう。そして唯一無二の日本の時計として世界が認めてくれる、そんな存在を目指して、私も力を尽くしていきます。