水中考古学研究支援
水中考古学研究支援プロジェクト
水中資源を保護する
水中考古学とは、水中に眠る遺跡を研究対象とする考古学研究で、歴史探求と水中文化遺産の保護を目的とした学問です。また、水中遺跡の盗掘と破壊を行うトレジャーハンター達から貴重な水中文化遺産を守り、歴史を次の世代に残すための活動も行います。セイコー プロスペックスは、Save the Ocean活動の一環として、ギリシャ・フルニ島における水中考古学研究への支援を行っています。

水中考古学は、新たなタイムカプセル
「人類は農耕民である前に船乗りであった」——この言葉を残したのは、水中考古学の父と呼ばれるジョージ・バス博士(1923〜2021)。
事実、人類が農耕を始めるよりはるか以前に、私たちの祖先が船に乗って世界各地の離島や大陸に到達していた証拠が発見されています。
水中考古学とは、水中に眠る沈没船などの遺跡を研究対象として調査・発掘し、過去の文明や人類の歴史を紐解く学術研究のこと。誕生から約60年というこの新しい学問は、考古学と水中環境に関する広く深い知見を持つ研究者たちの情熱と地道な努力によって数多くの学術的成果をあげ、今では世界中の海で多くの調査・発掘が行われるようになりました。
事実、人類が農耕を始めるよりはるか以前に、私たちの祖先が船に乗って世界各地の離島や大陸に到達していた証拠が発見されています。
水中考古学とは、水中に眠る沈没船などの遺跡を研究対象として調査・発掘し、過去の文明や人類の歴史を紐解く学術研究のこと。誕生から約60年というこの新しい学問は、考古学と水中環境に関する広く深い知見を持つ研究者たちの情熱と地道な努力によって数多くの学術的成果をあげ、今では世界中の海で多くの調査・発掘が行われるようになりました。

水中文化遺産の独自価値
水中遺跡の最大の特徴は、その保存状態の良さにあります。これは、沈没した船体が砂で覆われ海底に埋没することで無酸素状態に近い環境となり、バクテリアなどの影響を受けずに沈んだ当初の状態が保たれるため。古代の沈没船が2〜3千年以上の時を経てもなお、極めて良好な状態で発見されることも少なくありません。そのため、水中遺跡には陸上の遺跡よりも歴史の痕跡や情報が克明に残され、学術的価値の高いものが多いことから、考古学の新たな分野として関心が高まっています。蒼く深い海の底での長い眠りから覚め、遺跡が私たちに語りかけてくる声に耳を澄ますこと。それは、私たちの祖先がどこから来てどのように生きたかを解き明かし、これからどこへ行くのか、進むべき航路を探求することに他なりません。


水中遺産を守ること、歴史を未来へつなぐこと
水中考古学研究の目的は、歴史の探究のみならず、水中文化遺産を保護することにもあります。水中考古学者たちは、長い時間をかけて学問としての考古学を学び、水中遺跡を調査・発掘するための訓練と経験を重ねた特別な技術を身につけています。彼らは細心の注意を払って発掘作業を行いながら、そのプロセスや情報を詳細かつ精確に記録することで、水中に眠っていた遺跡の姿を明らかにし、その後の新たな研究にも貢献します。

歴史への敬意と使命感に満ちた研究者たちの対局にいるのが、いわゆるトレジャーハンターと呼ばれる盗掘者。彼らは金銭的な利益のみを目的として貴重な遺物を破壊し、盗掘してその場を荒らしたまま去っていきます。盗まれた遺物の行方を追うことは極めて難しく、その歴史的価値を研究する機会も永遠に失われてしまうのです。水中考古学研究は、盗掘者から貴重な水中文化遺産を守り、歴史を次世代に受け継ぐための活動にも力を注いでいます。

水中考古学研究を支援するプロスペックス
海と深い関わりを持つブランドとして歩んできたセイコー プロスペックスは、海の豊かさを守り、未来へとつないでゆく「Save the Ocean」活動の一環として、水中考古学研究への支援を行っています。

プロスペックスが支援する水中研究プロジェクト

◇ギリシャ・フルニ島での古代船水中調査プロジェクト
エーゲ海に浮かぶギリシャのフルニ島における2015 年~2019 年の調査で、島の周辺から歴史的に重要な意味を持つ58隻もの沈没船が発見されました。2021 年からは、特に保存状態の良い水深45m地点に沈んでいる西暦4世紀頃の難破船を重点的に調査開始。この発掘調査は、西ローマ帝国から東ローマ帝国(ビザンツ帝国)へと、地中海における西洋文明の中心地が移行した時代の海洋交易網や航海技術の発展に関する研究に役立てられます。
◇ジャマイカ 水没都市ポートロイヤル水中発掘プロジェクト
16 世紀末(1692 年)の地震によって沈んだカリブ海の水中遺跡。2025年1月に、町の西端にあったジェームズ砦の水中発掘を実施。考古学会では非常に注目度が高い遺跡の水中発掘プロジェクト。


◇アメリカ合衆国 シャンプレーン湖 蒸気船フェニックス 3D レコーディングプロジェクト
1800年初頭の蒸気船フェニックス号(1815年建造‐1819年沈没)のフォトグラメトリによるデジタル 3D モデル作成プロジェクト。蒸気船フェニックス号はアメリカで最初に造られた蒸気船の一隻で、この蒸気船の構造を理解することは、アメリカの蒸気船の進化の歴史を紐解く上で非常に重要だと考えられています。
◇クロアチア グナリッチ沈没船プロジェクト
アドリア海・クロアチア沖に沈んだルネサンス期(16世紀末)の沈没船の調査が行われています。この船は、当時のベネチア共和国からオスマン帝国のコンスタンティノープルへ航海中に嵐に遭い、座礁しました。積み荷には、ルネサンス期のさまざまな商品や絵画に使われる顔料などが含まれており、これらの調査によって、当時の地中海交易の実態が明らかになってきています。

セイコー プロスペックスは水中考古学研究を支援を通じて、水中文化遺産の保護と人類の歴史に関する知識の拡充に貢献しています。