精度(進み・遅れ度合い)
クオーツと機械式の精度
一般的に機械式時計よりもクオーツ時計の方が正確に時を刻みます。クオーツ時計は電池から動力をもらい、水晶とICで時計の精度を高めています。 これに対し機械式時計は、ぜんまいの力を動力にして、小さな部品が物理的に働き合い、ひげぜんまいなどの微細な部品の調整によって精度をコントロールしています。
これらの微細な部分は温度や磁気、衝撃などの外部環境や、姿勢、携帯時間、ぜんまいの巻き上げ量といった使用状況の影響を受けやすく、時計の遅れや進みとなって現れます。
クオーツ時計の年差について
年差とは、 時計の1年間の進み・遅れの度合いを表します。一般的なクオーツ時計の精度は、月差で表すのに対し、高精度クオーツは年差で表されます。年差は、1年間を通しての誤差を意味しており、1ヶ月の遅れ進みが必ずしも年差の12分の1になるということではありません。春や秋には月に1~2秒進んでいたのが、冬には月に1秒遅れる時計があったり、冬場は正確に運針していて、春から秋まで月に1秒進む時計があったりと、温度の影響を受けて進み遅れの傾向は一つ一つの時計によってさまざまです。年差時計の精度は、少なくとも3~4ヶ月くらい携帯して判断することが大切です。
機械式時計の平均日差
日差とは、 時計の1日の進み・遅れの度合いを表し、主に機械式時計の精度を表します。 機械式時計の精度は、使用環境や巻き上げ量等のさまざまな条件の影響を受けて毎日微妙に変化します。日差は、1日だけで判断せず少なくとも1週間から10日程度の平均値を確認することが大切です。
機械式時計ではぜんまいが常に十分なエネルギーを各部品に供給することが重要です。ぜんまいがほどけてきて供給されるエネルギーが弱まると、精度を担う部品が正しい往復運動を行えなくなるからです。安定した精度を得るために手巻き式は、1日1回、同じ時刻にりゅうずを回しぜんまいを巻き上げ、自動巻き式は1日に10時間以上携帯することをおすすめします。
また、時計を構成する部品は金属でできており、金属は温度の変化によって伸び縮みします。高温時には時計の精度を制御する部品が伸び、動きもやや緩慢になるため、一般的に遅れがちです。低温時はその逆の理由で、進みがちです。
その他、着用中に時計の向きは様々に変化しますが、時計の向きで精度も変化します。地球の重力や部品同士の摩擦等が時計の動作に影響を与えるからです。
取扱説明書に記載されている精度はごく一般的な使用を想定して設定されたもので、ご使用になる条件によっては精度の範囲を超える場合があります。