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常に前向きに挑戦し続ける、俳優/ロースターの坂口憲二。そんな彼の姿勢は、「Keep Going Forward」をブランドフィロソフィーとする「プロスペックス」が刻む時間と呼応する。「プロスペックス」には多様な魅力があるが、そのスペックとデザインでツールウオッチという枠を超え、現代的なライフスタイルと融合しているという。その理由を時計ジャーナリスト/ウオッチディレクターの篠田哲生と語り合う。
時代が求めたダイバーズウオッチ
篠田:坂口さんのライフスタイルやコーヒー焙煎という職人技とのつながりなどを通じて、「セイコー プロスペックス」の魅力を語ってきました。しかし今回はもう少し時計自体にフォーカスし、その進化や新しい役割についてもっと知ってほしいんです。
坂口:なるほど、お手柔らかにお願いします。
篠田:まず男性の時計ジャンルを大きく分けると、ドレスウオッチとツールウオッチがあります。ドレスウオッチは装うためのもの。そしてツールウオッチは特定の目的のために生まれたもので、ダイバーズウオッチはその代表格です。ダイバーズウオッチが生まれたのは1950年代に入ってからですが、これは空気タンクを背負って海に潜るスキューバダイビングの技術が確立し、比較的自由に海の中で活動ができるようになったことがきっかけです。
優れた防水性能は当然として、ポイントとなるのは回転ベゼル。海に潜る際に分針にマーカーを合わせることで、潜水経過時間を簡単に計測できる重要な機能でした。
坂口:セイコーが初めて発売したダイバーズウオッチが、1965年にデビューしたこのモデルですね。
篠田:1965年という時代は、まだまだコンピューターが発達していないので、機械式時計は人類が生み出した最高峰のテクノロジーのひとつでした。セイコーでは1965年に国産初のダイバーズウオッチを発表し、1968年には当時の最高水準であるハイビート式のダイバーズウオッチを発表しています。
坂口:当時のモデルは、まさしく“道具”と呼ぶのがピッタリな武骨な時計ですね。
篠田:これもかなり魅力的ですが、そこから時を重ねること約60年の間にセイコーは少しずつ進化を重ねてきました。現代の「プロスペックス」は、オリジナルモデルをベースにしつつ、現代的なアップデートをしています。
坂口:現代的というのはどういうことですか?
篠田:実は1990年に、セイコーが世界初の腕時計型ダイビングコンピューターを発表します。それは“道具”としてのダイバーズウオッチにとっての大きな転換点となりましたが、ダイバーズウオッチはなくならなかった。なぜなら、頑丈で防水性が高くて時刻を読みやすいというダイバーズウオッチの必須要素が、 腕時計の理想形でもあるからです。そこでセイコーはダイバーズウオッチのスペックや機能的なデザインは残したまま、装うことも楽しめるドレッシーな要素も加えたのです。
坂口:たしかにオリジナルモデルと現代のヘリテージモデルを比べると、時計ケースの輝きが違いますね。それにダイヤルの色も華やかです。
篠田:道具として考えたら、ケースが輝く必要はありませんし、ダイヤルも黒一択。しかしライフスタイルの中で楽しむための時計と考えると、ケースの磨きやカラーリングといった個性が身につける喜びにつながる。坂口さんも「プロスペックス」を愛用しているから、その魅力がわかると思います。
坂口:そうですね。まさにその日のファッションや用事に合わせて時計を選ぶようにしています。

右/1965年モデルのスタイルを継承する、セイコー プロスペックス メカニカルダイバーズ 1965 ヘリテージ「SBDC197」。ケースのエッジにポリッシュ仕上げを取り入れることで、メリハリのある輝きを演出する。左/1968年モデルを継承するセイコー プロスペックス メカニカルダイバーズ 1968 ヘリテージ GMT「SBEJ009」。グリーンダイヤルの深い色合いや、セラミックベゼルの光沢感などで、高級感を引き出した。
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右/1965年にデビューした日本初のダイバーズウオッチ「Ref.6217」。防水性能は150mで、南極観測越冬隊にも採用された。左/1968年にデビューした「Ref.6159」。高い精度と耐衝撃性を誇るハイビートムーブメントを搭載した画期的なモデルで、300mという優れた防水性を実現するために、裏ブタをもたないワンピース構造のケースを考案。4時位置にリューズをセットするなど、大胆かつ画期的な性能を盛り込んだ。
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セイコー プロスペックス メカニカルダイバーズ 1968 ヘリテージ GMT「SBEJ009」は、立体感のあるケースフォルムも特徴。深みのあるグリーンは、派手じゃないけど存在感がある。「綺麗な色ですよね。僕にとってグリーン=ゴルフ。最近ハマっているゴルフに行くときの時計として選びたいですね」(坂口)製品の詳細はこちら ≫

セイコー プロスペックス メカニカルダイバーズ 1965 ヘリテージ「SBDC197」は、端正なデザインと、揺るぎなき王道感が魅力。「ケースサイズが絶妙。300m空気潜水用防水というタフなスペックながら、40㎜径なので腕にスマートにおさまる。デザインもレトロなので、あらゆるスタイルに似合うでしょうね」(篠田)製品の詳細はこちら ≫
都会と地方をシームレスにつなぐ
デュアルライフに似合う腕時計
篠田:優れたスペックを持つタフウオッチでありながら、高級感のあるディテールを持つ「プロスペックス」のヘリテージモデルは、スポーティにもエレガントにも楽しめる現代のオールマイティウオッチだと思います。坂口さんは千葉に拠点を構えるデュアルライフを行っていますよね。僕の友人にも地方にセカンドハウスを構える人が増えており、僕自身も長野県にセカンドハウスを建設中です。都会と地方を行き来する新しいライフスタイルを構築する上で、この「プロスペックス」は最適なのです。
坂口:僕の場合は、ストレスフルな都会を忘れるためのセカンドハウスですが、篠田さんはどういう目的でセカンドハウスをもったのですか?
篠田:“普通の一日”を楽しむためですね。といっても地方に移住するのではなく、あくまで現在の暮らしの延長として考えたかった。非日常の時間を過ごすというよりは、近所の公園に行くのと同じ感覚で都会と地方をシームレスにつなげるのが理想なんです。だから交通の利便性や生活インフラが整いつつ、森の中で暮らすことができる立地を探しました。
坂口:デュアルライフの先輩としていえることは、どちらかの生活に偏るのはダメ。東京ばかりじゃストレスがたまるし、地方にいるとのんびりしすぎて、都会の時間の流れについていけなくなっちゃう。

篠田:都会と地方でうまくチューニングを合わせていく感じですね。僕の場合は仕事柄、どういう時計を選ぼうかと考えるのが楽しい。愛犬と森を散歩したり、渓流で釣りをしたりするときは、タフな時計が欲しい。でも現地の友人たちや家族と高級レストランで食事会をすることもあるので、時計にはラグジュアリー感も欲しい。そういう時に「プロスペックス」は、最良の選択肢になるのです。
坂口:僕も「プロスペックス」を愛用しています。ゴルフに行ったりビーチを散歩したりする時はもちろんですが、東京に戻って仕事の打ち合わせをする場合でも時計を変える必要はないですね。
篠田:僕が着用している「1965 ヘリテージ」は、国産ダイバーズの原点モデルを継承するシンプルなデザインが特徴。ケース径も40㎜とダイバーズとしてはやや小ぶりなので、シャツジャケットくらいの軽やかなビジネスカジュアルとも好相性でしょう。坂口さんが着用している「1968 ヘリテージ GMT」は、42㎜とケースは一回り大きいですが、ボリューム感のある時計なのでレザーブルゾンなどボリューム感のあるアイテムとも好相性。どちらもツールウオッチならではのタフなモデルですが、ドレッシーなきらめきもあるので都会でも存在感を発揮します。まさにオンとオフをシームレスにつないでくれる時計ですし、多様な暮らし方が広がる現代のニーズに見合った実用時計なのです。

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セイコー プロスペックス メカニカルダイバーズ 1968 ヘリテージ GMT「SBEJ009」セイコーグローバルブランドコアショップ専用モデル。自動巻、SSケース、200m空気潜水用防水、ケース径42㎜、ケース厚12.9㎜。製品の詳細はこちら ≫

セイコー プロスペックス メカニカルダイバーズ 1965 ヘリテージ「SBDC197」セイコーグローバルブランドコアショップ専用モデル。自動巻、SSケース、300m空気潜水用防水、ケース径40㎜、ケース厚13㎜。製品の詳細はこちら ≫

坂口憲二(さかぐち・けんじ):1975年東京都出身。モデル、俳優を経て、2018年にコーヒーブランド「The Rising Sun Coffee」を立ち上げる。現在は千葉、東京、神奈川に店舗を構え、またコーヒー豆の販売や卸し、グッズ製作など幅広くビジネスを展開中。昨年から俳優の仕事を再始動、ドラマやCMでも活躍。
篠田哲生(しのだ・てつお):1975年千葉県出身。時計専門誌、ファッション誌、ビジネス誌、WEBメディアなど40を超える媒体で時計記事を執筆。時計イベントの企画や登壇も行う。時計学校を修了し、スイスやドイツでの取材経験も豊富。近著の『教養としての腕時計選び』(光文社新書)は、韓国と台湾で翻訳版が発売された。
日々の生活の中でも
前進し続ける人にこそ似合う腕時計
篠田:改めて聞きたいのですが、坂口さんにとって腕時計ってどういう存在ですか?
坂口:もはや生活の一部ですね。手首に「プロスペックス」があることが当たり前になっています。でもそれに慣れてはいけない。日々の積み重ねや感謝を忘れず、小さな時間を大切にする。時計というのは、そういう大切な時間や思い出を投影するものでもある。時計を眺めながら、あの時こういうことがあったなぁなんて思い起こすことで、さらに愛情が湧く。時計って不思議なものですよね。
篠田:しかも俳優の仕事をする際には、キャラクターを固める小道具にもなりますよね。
坂口:時計は思った以上にその人の個性を引き出すものですから、役柄に合わせてつける時計にこだわる役者さんも多いですよ。自分が普段つけないような時計を選ぶと、役に気持ちを入れるスイッチになることもあります。でも、時計の仕事を長くやってきた篠田さんにとっては、腕時計ってどういう存在なのですか?
篠田:僕は時計そのものだけでなく、時間が生み出す文化や物語にも興味がある。人類の歴史と時間は切り離せない関係にあり、時計技術の進化はテクノロジーの進化でもある。時計を楽しむということは、“大人の嗜み”なのだと思います。だから時計選びは難しい。何を選ぶかで、自分らしさが透けて見えますから。
坂口:それって篠田さんの価値観とも関係しますか?
篠田:そうですね。僕の仕事は、自分の意見を言葉としてアウトプットすること。そのためにあらゆる物事を、ポジティブに捉えるようにしています。どんな些細な物事も、ポジティブに接することで見え方が変わってくるし、トラブルの中にだって新しい発見があるかもしれない。ポジティブに受け入れるから多角的に見ることができるし、自分らしい答えを導き出せるのではないでしょうか。
坂口:それって素晴らしい考え方ですよね。着眼点ひとつで悪いことも良いことに変えられる。僕もこの対談で出会った人たちからたくさん学びました。誰もが確固たる信念をもっているし、仕事を楽しんでいる。楽しむって大事なことですよね。もしも自分がつまらなそうに演じたら、見る人だって楽しくないでしょう。自分の考え方で道を切り開くことの面白さを改めて学びましたね。
篠田:「プロスペックス」はアクティブな時計であり、行動的な人のための時計である。日々の普通の生活の中でも強い気持ちを持って前進し続ける人にこそ似合う時計なのです。
ーー前向きな時間を過ごすこと。それは人生に広がりをつくることである。物事の一面だけを見るのではなく、違った角度から物事を見ることで、新しい価値を見つけ出す。ツールウオッチに華やぎを加えることで、多様な個性を得た「プロスペックス」は、自分らしい時間を生きるためのヒントを与えてくれるのだ。