Loading...

Your King Seiko #04

インテリア&プロップスタイリスト/窪川 勝哉

「自らのスタイル」を貫く意志と
歴史あるものへのリスペクト

独自のスタイルを貫くさまざまな方に、キングセイコーの魅力をお聞きするインタビュー企画の第4回目はプロップ&インテリアスタイリストとして活躍する、窪川 勝哉さんが登場します。空間をプロデュースする専門家から見た腕時計という存在、そして自分の中に「軸」を持つという考え方についてお聞きしました。

写真:窪川 勝哉

窪川 勝哉Katsuya Kubokawa

1974年山梨県生まれ。車や家電、ステーショナリーなどプロダクト全般に造詣が深いプロップ&インテリアスタイリスト。TV番組や雑誌など、メディアでのインテリアに関するスタイリングに加え、ウインドウディスプレイやイベントのデコレーションなども手掛ける。またメーカーとのコラボレーションによる家電プロデュースも行っている。東洋大学ライフデザイン学部非常勤講師。

写真:窪川 勝哉

「歴史あるもの」への想いと
時代の流れを読む感覚とは

僕は割と早熟な子どもで、小学生くらいからクルマとファッションに目覚めて、大学生のときはレトロな物に興味を惹かれるようになりました。機械式腕時計も好きでしたし、フィルムカメラのコレクションもしていましたね。

それから早い段階でファッションには興味を失ったのですが、インテリアにハマりだして、プロップ(小物)スタイリスト、インテリアスタイリストとして活動している今に至ります。インテリアの何が良いかというと、気に入ったものを長く使えることですね。ダイニングテーブルやチェアとか、大切に扱えば自分より長生きしてくれます。

だから、あまりトレンドでころころと変わってしまうものは好きではないんですよね。特にファッションは移り変わりが激しいので、追いかけることに時間がかかり過ぎてしまいます。もっとインテリアに時間を使いたいです。あとは歴史があるものが好きで、今日撮影している僕のアトリエも、日本を代表する建築家・前川國男さんが1957(昭和32)年に建てられた、三角屋根を持つテラスハウスを僕と設計、施工のできる友人でリノベーションしたものです。

この家では「1950~60年代にデザインされた家具や小物を選ぶこと」もひとつのテーマでした。シャルロット・ぺリアンのスツールや壁付け照明、ショージ・ネルソンのペンダントライト、ハンス・J・ウェグナーのベッドなど、国やスタイルにはこだわらず、この家と同じ時代にデザインされたものを巧みに取り入れています。

ただ当時の雰囲気を活かしつつも、現代的な要素を入れるために広い和室を洋室に変え、面積の大きいブルーのカーペットを敷きました。部屋に置いてある家電などは最新式ですから、そうしたものとのバランスを取るうえでのアクセントにもなります。

写真: 洋室に敷かれた、鮮やかなブルーのカーペット

洋室に敷かれた、鮮やかなブルーのカーペット。これは、窪川氏がリノベーションする際に、前川國男さんの時代の昭和らしさを残しつつ、現代的に他の家具や家電とのマッチングを考えてアップデートした。

写真:吹き抜け構造

屋内に光を取り入れるため、リノベーションの際に吹き抜け構造にするなど、大幅な改築を行っている。この建築を選んだ理由は、「この歴史あるテラスハウスのことは知っていましたが、まさか売りにでるとは。ここなら都内でも、郊外のような落ち着いた雰囲気のアトリエが作れそうだと思い即決しました」(窪川)

変わるトレンドと、変わらないスタイル

プロダクトは大好きで、インテリアだけでなくクルマ、腕時計、家電、小物など気になるものが多いです。しかしインテリアスタイリストとしての目線で考えると、「木を見て森を見ない」のはよくないのです。

どういうことかと言うと、スタイリングする上では空間全体を考えて、引いて見ることが大事になってきます。例えば、トレンドでソファーを買うと大変なことになります。それは空間の中心にある大きな面積を占めるものが、ころころ変化すると全体のバランスをとれなくなるからです。

アメリカンビンテージ風の部屋作りをしていたとして、急に気に入ったからといってヨーロッパのミニマルデザインなソファーを入れたとしたら、部屋にあるすべての小物などが統一感を失ってしまいます。

だから部屋の中心には普遍的なデザインをもったものがふさわしく、トレンド感はクッションなどの小物で演出してあげれば良いと思います。大きいものや、長く使うものはトレンドで選ばない、ということを僕は人におすすめしています。

写真:SDKA021 KING SEIKO 着用イメージ

窪川氏の考える
キングセイコーの美しさとは

今回、新しくリローンチされたキングセイコーを見た第一印象は「正しい腕時計の基本形」でした。もちろん、それほど腕時計に精通しているわけではありませんが、キングセイコーを祖父が所有していて、カッコよかったなあという思い出も手伝っている気がします。

スラッと伸びた針に、12時位置のインデックスなど本当にディテールが凝っています。デザインは半世紀前から大きく変わっていないのに、ムーブメントはアップデートされていて、実用面が考え抜かれていると感じました。6L系ムーブメントを搭載した上位機種は特に、針が3面カットされていて光をうまく操られている印象です。

現行の機種でまず気に入ったのは、グリーンダイヤルの「SDKA021」です。この丸みを帯びた独特なケース形状をひと目見て気に入りました。美しい鏡面仕上げのケースやブレスレットも含めて、まるでアクセサリーみたいですね。

また、赤いダイヤルの「SDKA011」や「SDKS031」がすごくいいです。なんだか色気を感じさせる、光沢もありつつ深みのある赤がワインみたいで気に入りました。

キングセイコーはカラーのバリエーションが豊富ですよね。でも、普遍性のあるデザインだから、どんな色をダイヤルに使っても違和感がありません。まさに、これこそ僕のスタイリングの考え方と通じるところがある気がします。

写真:SDKA011、SDKS031、SDKA021、KING SEIKO

左上から反時計回りに SDKA011、SDKS031、SDKA021

写真:シックなレザーストラップ 写真:KING SEIKO カラーバリエーション

「カラーバリエーションが豊富で、選ぶのが楽しいですね。キングセイコー発祥の地である東京を背景に作られたこだわりのあるモデルが多く、どれも捨てがたい。」(窪川)
特に気に入った「SDKS031」は、ブレスレットからシックなレザーストラップへ簡単に変えられることも魅力的だと話す。

どんな格好にも
合わせやすい腕時計

実は仕事の際は家具などを傷つけるといけないので、腕時計はあまり着けません。でも、もういい大人ですから、ドレッシーな格好をするときは身に着けます。今まで、カラーのダイヤルには遊び用の腕時計のような印象があったのですが、キングセイコーは格調高いデザインのおかげで、スタイリングしやすいですね。

腕時計を軸に服のコーディネートを考えることは少ないです。先ほどの家具の話と同じで、ベースがしっかりしているものであれば、格好を選ばず身に着けられますし、そういう意味ではキングセイコーは万能な腕時計だと思います。

写真:窪川 勝哉

キングセイコーと
自身のスタイルの共通点

キングセイコーは1960年代に誕生し、当時の良さを大切にしているところが魅力だと思います。僕も考え方を変えずにいたいと思っていますが、個人としてブレなくても、仕事はブレるところもあります。なぜなら普遍的なものが好きではあるけれど、時代に合わせてある程度はクライアントの要望に応える技術も当然必要になってくるからです。

トレンドを追う仕事でもあるため、自分がそこにアジャストしていけるか、も問われているのではないかなと思います。

キングセイコーもまさにサイズ感やダイヤルカラー、バンドを簡単に交換できるなど現代的にアップデートしている部分が多く、僕もそうやって大事なコアの部分と、時代に合わせていく部分をしっかり認識しながら生きていけたらと思います。

Special Page